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UNIQLO 海外デジタルマーケティング 2012年のまとめ

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サンフランシスコに今年の秋アメリカで5つ目のユニクロの店舗がオープンした。そのオープンに向けての広告の打ち様は圧倒的であった。屋外広告はもちろん、全面ユニクロの広告で覆われたバスは毎日何台も見かけたし、さらにユニクロ飛行船も週末によく飛んでいた。彼らのサンフランシスコ店舗オープンへの意気込みと、アメリカ展開の勢いはアメリカ人にも伝わっているはず。

UNIQLOはコピーに“JAPAN TECHNOLOGY”と掲げているだけあって、特にデジタルマーケティングに力を入れており、この分野では他のアメリカのファッションブランドと比べても引けをとらない。店舗のデザインも日本よりモダンで近未来感を漂わせている。そんなUNIQLOの2012年のデジタルマーケティングをまとめることで、日本のアパレルブランドが海外でどのように戦っているか、そして日本とどのようにアプローチを変えているかを分析しよう。ちなみに、UNIQLO USAの広告はDENTSU AMERICA/Atticが担当していると言われている。

1. ファンに親近感を与えるFacebookページ運用

Screen Shot 2012-12-15 at 2.09.26日本語のユニクロFacebookページと比べると、UNIQLO USAのページはよりファンとのインタラクションを積極的に取り、多メディアからの情報もシェアしている。例えばRefinery29というニューヨーク発の人気オンラインファッションマガジンでユニクロの服を着た素敵なスナップ写真があればUNIQLO USAはシェアする。

世界中のユニクロファンたちのためのファッションスナッププラットフォームUNIQLOOKSでは毎週ユーザーの中からベストドレッサーを選びポストする。そのベストドレッサーはFacebookページをLikeしている19万人のユーザーの目に留るかもしれないのだからとても嬉しいだろうし、さらにアクティブに参加するようになる。

アメリカのFacebook普及率は約50%なだけあって、UNIQLO USAのページでは日本語のページより格段に継続的で密接なファンとのインタラクションを図っている。日本のページのように一方的にブランドの活動情報を与えるのではなく、”Likeしてくれてありがとう。ちゃんと見てますよ。”という印象を与えているところが大きな違い。これはPinterestやTwitterの運用でも同様のことが言える。

uniqloまた、UNIQLOはFacebookページを使ってスタイリングコンテストも開催。手順は ①UNIQLOがFacebookページでUNIQLOとロンドンの人気ブランドOrla Kielyとのコラボレーションアイテムの写真をポスト。②ユーザーはその写真の中のアイテムを使ったコーディネートを考えて写真に自分をTagしアイディアをコメントする。③UNIQLOがそのコメントの中から最も素敵なスタイリングのアイディアを選び、優勝者には15,000円相当のOrla Kielyのティーセットと50,000円相当のハンドバッグをプレゼントする。ルール詳細はこちらから。右の画像のコメント欄でのUNIQLOと優勝者との会話からも、ブランドとファンとが近距離でコミュニケーションを取っている様子がわかる。

他にも、店舗のセール品の残り情報をポストして知らせたり、店舗イベントの告知にはFacebookイベントを立てるなど、メルマガよりも包括的なコミュニケーションをFacebookページで取っていることが特徴だ。

2. 注目のSNS, Pinterestを大胆ハック

以前の記事、海外ファッション・コスメブランドに学ぶPinterestキャンペーン10選でも取り上げたUNIQLOのPinterestをハックしたプロモーション。下記の動画でプロジェクトの概要がわかる。他のファッションブランドでも、今までこれほどの斬新で大胆なPinterestプロモーションをやったブランドはほとんどないはず。このプロモーションで、”テックに強いファッションブランド”というイメージを持ってもらうことに成功した。

3. 最新AR技術も見逃さない

ソニー・ピクチャーズが映画”The Amazing Spider-Man”公開に合わせ、UNIQLOがスパイダーマンのTシャツシリーズを発売。そのプロモーションとしてTシャツのプリントもしくは店頭のディスプレイにスマートフォンかタブレットをかざすと見れるAR(Augmented Reality=拡張現実)のスペシャルコンテンツを提供した。参加者はさらにニューヨーク行きのチケットも抽選で手に入れることができる。消費者が店舗からウェブサイトへの導線を辿る流れが下記の動画で見て取れる。

4. 店舗イベントにもデジタルな仕掛け

UNIQLOがサンフランシスコ店舗オープンに際し、デジタルサイネージ”Magic Mirror”を用いてプロモーションを行った。サンフランシスコはテクノロジーとイノベーションの街。その街でJAPAN TECHNOLOGYを押し出して行くのが目的。Magic Mirrorは60インチのディスプレイで、ウルトラライトダウンを着てその前で動くと、他の色のダウンも着替えずに試着出来るという仕掛け。Facebook, Twitterと連携していて、この体験を友達に知らせることができる。この仕掛けを作るのにいくらかかり、どのような指標で成功を測るのかが気になるところ。

5. 日本発世界一有名な猫を起用したキャンペーン

YouTube VIDEO AWARDS JAPAN 動物部門で3年連続受賞、ニューヨークタイムズでも紹介されたことのある世界一有名(?)な猫Maruを使って、キャンペーンを行った。ユーザーはFacebookでログインし、Maruがランダムで入った箱の商品をゲット。店頭で交換してもらう。日本発世界に通用するコンテンツを見逃さないところがさすが。

6. CSR活動にオンラインでファンを巻き込む

スクリーンショット 2012-12-16 15.15.13アメリカの消費者は起業のCSR活動を日本よりもかなり重要視する。ソーシャルファッションという分野も今注目だ。そんな中、Clothes for Smilesは消費者と一緒にCSR活動のアイディアを考えて行こうという取り組み。ヒートテックとウルトラライトダウンの売り上げから10億円のファンドを設立し、未来をつくる子どもたちに夢と希望を提供する。ファンドのうち5億円はUNICEFへの支援に活用され、残りの5億円の活用方法をみんなで考える。ここ数年、オンラインでアイディアを募るプラットフォームはOpenIDEOを始め先進的な取り組みがいくつか見られるようになってきているが、UNIQLOのこのプラットフォームの凄いところは、世界9カ国語に対応しており、それぞれの地域のローカルなアイディアを集められる点。人々が毎日着る世界共通の”服”を提供するグローバル起業だからこそなし得る事業だ。

また、現在進行中UNITED IN WARMTH PROJECTではハリケーンサンディの被災地にウルトラライトダウンとヒートテックを寄付するボランティアをHPで募集中。

7. クリスマスシーズンにピッタリのシンプルで遊び心あるキャンペーン

トップ画像は、現在進行中のクリスマスギフトキャンペーンUNIQLO GIF BOX。メールアドレスを入力するだけで$5と楽しいGif画像が貰える。最大$500プレゼントもあるようだ。このにぎやかなサイトデザインとアニメーションとシンプルで直感的に分かりやすいキャンペーンが、訪問者に何のためらいなくメールアドレスを入力させてしまう、この計算された”単純さ”。ちなみにGifというのは画像のファイル形式。誕生から今年が25周年目で他にもいろいろなところでGifファイルをつかったキャンペーンが行われていた。そのアメリカでのさりげない流行を取り入れ、”ギフト(Gift)”を掛け合わせたアイディアだ。

まとめ

これらのデジタルマーケティングを一通り見てみると、日本のユニクロよりも海外のUNIQLOの方がデジタルマーケティングにおいては先を行っているのは明らか。ただ単にオンライン広告をうつのではなく、充実したコンテンツで消費者の心を動かし、UNIQLOという”ブランドのファン”にしているのが特徴。

アメリカではテレビCMよりもデジタルマーケティングの方がどんどん重視されてきており、一方日本のオンライン広告はアメリカより2年遅れているとも言われている。ソーシャルメディアマーケティングに関しては、日本語のユニクロのFacebookページとUNIQLO USAのFacebookページを比べると、コミュニケーションの取り方の違いがわかりやすい(アメリカではまだ5店舗しかないため、店舗でのコミュニケーションと連動しやすいことも理由の一つ)。

UNIQLOの今回のケーススタディは日本の3つのポジションのブランドにとって参考になる—

①海外進出を狙う日本のブランドが行う海外で行うデジタルマーケティング
②日本でデジタルマーケティングの最先端を狙っているブランドにとっての参考事例
③日本もしくは海外でデジタルマーケティングを用いて認知を高めて行きたい新興ブランド

③のブランドにとってはコストの少ない事例1のFacebookページのインタラクティブな活用や、事例7のオンラインだけで済むシンプルで分かりやすいものが良い。ファンに密着し、店舗でのコミュニケーションと連動したソーシャルメディア運用が大手ブランドにはできない強みになる。しかし、ファッションブランドにとってはやはり実際の店舗での消費者とのコミュニケーションが最重要であるから、②のようなポジションのブランドには今回の事例4のようにリアルなタッチポイントからオンラインで拡散させる仕組みに力を入れて欲しいところ。TeamLabのデジタルサイネージとハンガーが連動したディスプレイも良い例。UNIQLOやBURBERRYのようにデジタルに強いファッションブランドが今後どんどん増えて行って欲しい。

参考URL:

https://www.facebook.com/uniqlo.us?fref=ts
http://mashable.com/2012/06/26/uniqlo-pinterest/
http://www.marketingmagazine.co.uk/news/1138863/Uniqlo-partners-Sony-Pictures-first-augmented-reality-campaign/?DCMP=ILC-SEARCH
http://www.aurasma.com/campaigns/spiderman-2/
http://www.sfgate.com/business/article/Uniqlo-opens-S-F-store-3919489.php
http://www.psfk.com/2012/09/maru-youtube-uniqulo-lucky-cube.html
http://mashable.com/2012/12/03/uniqlo-gif-box/

筆者: Kotaro Oguchi @Ogu_Chon


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